バイト先で初めて会った時からなぜか好きになるって思った。
かっこ良くなかったし、周りの皆からはネタにされてた。
けどすぐに大好きな人になった。


夏のバイトが終わり、付き合うことになった。
お互い初めての恋人やった。


毎日帰りのホームで待ち伏せしてた。
ケータイもポケベルもなかったから、会えるなんて奇跡やった。
本当に幸せやと思った。
愛されてると初めて感じた人やった。



2年目のビアガーデンのバイト、帰りはいつも送ってくれた。
途中の公園のベンチで色んなことを話し帰りを惜しんだ。
私達の場所になった。



夏の終わり、彼の様子がおかしくなった。
一人暮らしのバイト先の子やった。



『始めから好きじゃなかった』彼が選んだ別れの言葉は、
彼の裏切りよりも深く私を傷つけた。
私が初めて感じた『愛されてる』という実感がとても虚しいものになった。



最後の夜、指輪とジッポーを屑籠に投げ入れ、
私達の思い出の公園は、儚い夢と消えた。